続・資本とは何か??

以前「資本とは何か??」という投稿をしたのですが、今日読んだ田坂広志さんの「目に見えない資本主義」の中でもそうした話があったのでまとめておきます。元々田坂さんの本は留学中に読んだりしていて、自分の考え方に大きな影響を与えた本だったなと感じています。

「目に見えない資本主義」田坂広志

これからの資本主義においては、「知的資本」「関係資本」「信頼資本」「評判資本」「文化資本」、総じて「共感資本」と呼ぶべきものが、極めて重要になっていく。

本のタイトルにもなっているように、これまで以上に「目に見えない資本」の重要性が増していくという話です。例によって、ここのブログではわざわざ要旨解説みたいなことはしません笑 数時間で読めてしまうので、是非読んでみて下さい、お勧めです。(新しい公共の円卓会議の資料だけでも結構読めると思います) ちなみに、 これからは知識集約型じゃなくて関係集約型になっていくんだろうね、という話を友人としますが、それも「関係資本」が重要になっているということなんだなと感じています。。

田坂さんの話で面白いなと思うのは、この「資本とは何か??」という話を5つのパラダイムシフトの点で論じているところです。

第一のパラダイム転換 「操作主義経済」から「複雑系経済」へ

第二のパラダイム転換 「知識経済」から「共感経済」へ

第三のパラダイム転換 「貨幣経済」から「自発経済」へ

第四のパラダイム転換 「享受型経済」から「参加型経済」へ

第五のパラダイム転換 「無限成長経済」から「地球環境経済」へ

これらの話は自然科学、社会科学、人文科学など、科学のあらゆる分野で起きている転換でもあることは、大学での学びを通じても広く感じたものです。特に第一の転換、「操作主義」から「複雑系」という話は自分の中で物事を見る際の大きなフレームワークになっています。本書でも指摘されているような「操作主義」は至るところで目にしますし、年をとるにつれてその中にのまれていく自分や周りの環境も強く感じています。

また、「参加型経済」の中で触れられている直接民主主義の話についても、自分の興味関心につながるものです。「社会変革に参加していく」というと少し身構えてしまう言い方ですが、私はそれを「今の社会の構造を知ること、その構造の変革につながる行動を選択すること」だと理解しています。ピーターセンゲが「システム市民」という言葉を使っていますが、社会変革に参加するというのは単に社会貢献をするということだけではなく、自分が普段生きている社会を構造的に捉え、その中でどのように振舞うかを主体的に選択していくことだと考えています。ここで挙げている「システム市民」の話と、田坂さんが触れている「参加型経済」というのは微妙に違うかもしれませんが、個人的には非常に近い文脈の上で理解しています。

 

本題とは直接関係ないのですが、本著の中で主張される「日本型経営」への回帰について、個人的にはそれって思考停止にならないだろうかと思う側面もあります。上記のパラダイム転換は日本企業にとって懐かしいものである、土着の文化に目を向けてみようという話です。もちろんそれらは正しいと思います。しかし、今の社会にはこうした精神性を持っていても、人々や企業組織にそうはさせない「構造」が存在しているかもしれないという発想を持つことも同じように重要だと考えます。

以前も少し書きましたが、最近考えているのは「社会的企業」というものは企業理念などの精神論ではなく、社会構造の中で企業活動をどのように再構築していくかという構造論な話しなんだろうなということです。この辺りもいずれ改めて書いていきたいと思います。

 

「資本とは何か??」という問いをしばらく自分の中にテーマとして持っていようと思っていたわけですが、今回の田坂さんの本にもそのヒントがあったように思います。「共感資本」や5つのパラダイム転換について、こうした抽象的な話を頭に置きながら、物事を分析的に見る目を持ちたいと思います。

障害者雇用とダイバーシティについて思うこと

こうしたテーマは普段は避けているのですが、今日考えたことをちゃんとメモしておきます。色々調べていた関係でふと見かけた「特例子会社」について。ご存知の方も多いかと思いますが一応、Wikiいわく;

特例子会社(とくれいこがいしゃ)は、日本法上の概念で、障害者雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用の促進等に関する法律第44条の規定により、一定の要件を満たした上で厚生労働大臣の認可を受けて、障害者雇用率の算定において親会社の一事業所と見なされる子会社である。

日本では障害者雇用について1.8%以上という法定基準があり、CSRの中でも重要なテーマの一つとなっています。そして、「特例子会社」は企業が出資者となって障害者の雇用を目的とした法人を立てることで、この障害者雇用の法定基準を満たそうというものです。色々、賛否両論のようですね。

特例子会社自体は上記の法定基準を満たすと言う意味でもちろん意味のある取り組みだと思います。ただ、自分の中で感じてしまうのは「本当にそれでいいのだろうか」ということです。あくまで個人的な感覚ですが、自分の中には「考えたくないものにはフタをしたくなる」習性があると思っています。「障害者」について、色々思い感じるものがあるからこそ、そこに壁を隔ててできるだけ関わらないようにする、そんな感じでしょうか。私の個人的な感覚ですが、多くの人にも共感してもらえるのではないかなと思います。

この特例子会社にも、何となく自分の中の感じ方が投影されているような気がしてなりませんでした。(もちろん、実態を調査したわけでもないので私の感覚的なもの、というのは分かって下さい。) 「企業」としていいことはしていても、それが人と人とが形成するコミュニティのあり方として「本当にそれでよいのだろうか」と思ってしまうのです。つまり、それはただ、「考えたくないものにフタをしている」だけなんじゃないのかと。

 

今回、自分の中で色々考えたのはやはり「ダイバーシティ(多様性)」という話です。同じ障害者雇用でも、ユニクロ(ファストリ)の取り組みは面白いなと思います。

一店舗一人を戦力として雇用する。1.8%という法令基準を大きく上回る数字以上に、店舗で雇用することに意味があるのだと思います。上述の特例子会社と比較してしまうのは、「どの程度、人と人とのコミュニティの中に多様性を創り出しているのか」という点です。乱暴な言い方をしてしまえば、ユニクロの店舗には、障害者を企業から切り離す特例子会社に比べると、本来あるべき多様性を持ったコミュニティが存在している、かもしれないということです。

 

1.8%という数字の上では、それはあくまで法令基準であり、コンプライアンスの問題でしかありません。しかし、「障害者との関わり方」というテーマで考えた時、その1.8%をどのように達成するのかということがまた別の問題として出てくるような気がしています。そしてその問題として感じているのが、そこにいる人達が「どこまで本気でその多様性を受け入れるようになっていくのか」ということではないかと感じているのです。

別に特例子会社を否定するつもりも、ユニクロの取り組みを絶賛するというつもりもないです。ただ、今回この話を取り上げたのは、そこに自分が考える「コミュニティにおける多様性のあり方」に通じるものがあったからです。それが何かということはまた次回以降考えていきたいと思います。

 

今回は結構書こうかどうか迷ったテーマでもあります。もしかしたらどなたかの気を害したかもしれないなと思ってもいます。ただ、「企業と社会」というテーマで色々学び考えていると、こうしたテーマを考えずにはいられません。単に「CSR戦略」としてのモノの見方ではない、社会中心の視点でこうしたテーマに臨みたいと思います。

ちなみに、ユニクロの障害者雇用は自分の研究テーマの中でも非常に有意義な示唆を与えてくれます。ダイバーシティによる職場環境への影響は色々なところで挙げられていますが、ここの記事で挙げられているように「行政との連携」というのも面白いなと思いました。私にとって「社会的価値の創出を経済性の観点からいかに正当化する」というのは大きなテーマです。CSVも色々言われていますが、私はその本質の一つは「社会の中でのコストの再分配」だと思っています。今回取り上げた取り組みはこうした点でも今後も動向を追っておきたいものなのです。

資本とは何か??

前回の投稿が中途半端なままで放置してあるのですが、取敢えず今回は今日の授業で先生と話した内容をおさらいします。授業、先生といっても、二人しかいない授業、もう一人の留学生が休んだので先生と一対一。僕らの音楽的な感じで2時間話しこんで終わりました笑

そこで話したのは「資本とは何か??」という話、そして現在世界で起きている統合報告に関する議論についてです。

 

後者の統合報告については、国際統合報告委員会が出したディスカッションペーパー「統合報告に向けて」を扱いました。12月に外部からの意見書は締め切ったようですが、日本公認会計士協会などが意見を提出しています。こうした統合報告に関する議論は、国際統合報告委員会に限らず、多くのアクターが並行して進めている印象です。パッと思い浮かぶものだけでもGRIのG4(こちらはIIRCの統合報告がESGをどう統合していくかのベースになるそうです)や、環境省が進めているものなどがあります。具体的な内容は今回はあんまり触れません、というか僕も勉強中です。

ちなみに僕は財務会計はかじった程度(学部の頃少し関連授業を取ってほとんど忘れている状態)ですが、先生とは財務情報と非財務情報としてのESGについて一般的な話をしました。財務会計はかじった程度ですが、ESG自体はお仕事の関係で扱っているテーマなので結構盛り上がるわけです。以下抽象的ですが、今回の投稿のメインの内容です。

 

先生が話の中で終始強調していたのは「資本とは何か??」を再考しないといけないフェーズに来ているということです。先生は環境会計を専門としていらっしゃり、GRIの委員会等にも参加している方で、これらのミクロレベルの動きはあくまで過渡期のものだという考えをお持ちなわけです。これらの動きの根底にあるものは何か、その先にあるものは何か、その答えに繋がる問いが「資本とは何か??」という問いです。

資本とは何でしょう??

Wikipediaを見てみるといろいろありますが、ここでそのそれぞれを取り上げることはしません。ただ、この資本の定義を再考することが大事ではないかということを今日は話したわけです。例えば、上述したディスカッションペーパーでは、財務的資本や製造資本、知的資本や人的資本などの従来の資本以外にも環境資本や社会資本(ソーシャルキャピタル)等が取り上げられています。環境はもちろんなのですが、「ソーシャルキャピタル」はボーリングの話にあるように、「コミュニティ」の価値を再考することが必要なのではないかということはいつも考えます。また、資本について、アダムスミス、ケインズ、マルクスなど、こうした経済哲学に立ち戻ることが必要になるような気もしています。

統合報告だけでなく、ESG、CSR、ソーシャルビジネスなどが取り上げられる中で思うことは、「どんな世界になってほしいのか」そこからバックキャスティングで今の社会に必要な仕組みを考えることが大事だということです。「ほしいのか」というと独りよがりな印象ですが、それを描くことがこれからもっと必要になるのだと感じています。

「資本とは何か??」このバックキャスティングを行う上で、非常に示唆に富んだ問いだと思ったので今回取り上げました。もう少し考えてみようと思いますが、是非色々な方のご意見を伺ってみたいものです。

人と組織の視点:社内社会起業家

前回の続きです。

「企業の役割と存在意義が変化、拡大してきている」ということで、企業という仕組み、市場と社会、人と組織という3つのレベルに分けて考えています。前回は企業という仕組みについて、「社会的価値の創造を経済性の観点から正当化する」ということが今後ますます重要になってくるのでは、ということを書きました。まだ他にも書きたいと思うことがありつつも、今度は一転、人と組織の視点を考えたいと思います。

 

BOPビジネスやサステイナビリティ関連のイニシアティブは、その派生プロセスにおいて社内のボトムアップの動きが非常に重要になると言えます。「社内社会起業家」という考えが欧米では一つのロールモデルとして浸透していますし、それを推し進める環境が整っているように思えます。社内社会起業家について、詳しい事例は関連する文献(これこれなど、この記事も好きです)に譲るとして、多くの企業人が「社会的価値の創出と企業活動を結び付けるか」ということに注力し始めていて、それらが今日「BOPビジネス」や「サステイナビリティ」の事例として華々しく紹介されているのです。前述した文献や記事の中の、SustainAbilityやSaatchi&Saatchiではこうした「社内社会起業家」が生まれる組織文化や環境等にもメスを入れた組織変革を行っていると推測されます。

 

ここでの大事な点は、「企業」としての論理と、「個人」としての論理の違いであり、その論理の違いを埋めるようなクリエイティブテンションの存在です。前回の記事でも書いた「既存の企業の仕組みの中で、社会的価値の創出に経済的なインセンティブを付与する」という考えは「企業」の論理に根差したものであり、「社会的価値の創出を経済性の観点から正当化する」という考えは「個人」の論理に根差したものであると考えます。

今回の大きなテーマである「企業の役割が拡大してきている」という主張について、この双方の論理に変化が起きていることが重要な根拠だと感じています。企業として、こうした社会的価値の創出に取り組むことに対する経済的インセンティブが明確に認識されるようになってきたことが前者の論理です。そして、後者として、多くの「個人」が社内社会起業家的なマインドを持ち始めていることが大きな変化であると感じています。

 

この「個人」の視点はこれまで私が出会った社内社会起業家の方たちから学ぶことが多かったです。BOPラボや仕事を通じて出会った方々、こうした個人の企業の中での振る舞いを見聞きしていると、そのアウトプットを企業としての経済性だけで評価する学問的な見方が非常に意味の内容に思えもしました。市場戦略といった視点も重要であることに変わりはないのですが、その背後にあるこうした複雑な組織行動を無視することはできないと感じています。

昼間の投稿で書いたピーターセンゲやオットーシャーマーなどの組織論者に共通していることは、機械的な組織からの脱却と、深いレベルにある個人の意志の開放だと理解しています。詳細は両著や本テーマの専門家に譲るとして、この変化は一つのパラダイムシフトとして広く認識されるようになったと言えます。今後もこうした変化が進むのであれば、今回の投稿で取り上げている人と組織という視点の重要性がさらに増すと考えています。

今回のテーマはもう少し掘り下げて考えたいことがたくさんあるのですが、今回はこのあたりで切ります。

これからの社会と企業??

さて、月曜祝日、やらなくてはいけないことはもちろんあるのですが、引き続き内省中です。自分にとってこのプロセス自体が「就活」なので笑

というのも、今志望している企業の仕事の一つが、「これからの社会」の姿を描くことです。 そして、その社会の中で企業の果たす役割を逆算する、その社会に求められる新しい価値を創造していくお仕事をされています。ということで、別に「これからの社会はこうだ!!」という答えをここで掲示することはしないのですが、その答えにつながるように、自分が妄想していることを言語化していきたいと思います。もちろん、これらは現時点での思考の言語化で、これから日々変わっていくものです。

 

今起きている大きな転換は『「企業」の役割と存在意義が変化、拡大しているということ』だと考えています。金融危機の影響、社会的企業の台頭等を受けて「これからの資本主義」という形の議論が行われていますが、その議論のさらに先、より抽象的な話になるかと思います。どういうことか少しづつ書いていきます。

 

この変化を理解する視点として、企業という仕組み、社会と市場、人と組織という3つのレベルで考えてみたいと思います。もちろんこれらは相互に関連しているので、あくまで思考軸としてくらいのものです。

企業という仕組みについて、前回の投稿にも書きましたが「社会的価値の創出が経済的インセンティブを持つようになった」ことが重要な変化です。それが顕著なものがやはりBOPビジネスでした。故Prahaladは生前から世界で最も影響力のある経営学者だったわけですが、「BOPビジネス」の主要なメッセージは貧困削減という価値を企業の経済的インセンティブとつなげるというものであり、その結果多くの人とモノと金を動かすことになりました。また、環境問題についても、市場と社会がその適切に反応しているため、環境ビジネスが機能しています。社会的価値の創出と経済的価値の創出、Win-Winという考え方自体は広く受けいられており、その恩恵もすでに見られていることは周知のことです。

 

こうなってくると議論は「どうすれば社会的価値の創出を経済性の観点から正当化できるか」という方向に向いていきます。一見ビジネスとしては儲からないからやる必要がない、というものを、どうすれば儲かる仕組みにすることができるか、という視点で捉え直すということです。この実践者であり先駆者がいわゆる「社会起業家」なのかもしれませんし、戦後の日本の発展を支えた偉大な創業者達だったのかもしれません。しかし、ここでは一端そういった精神性を排除して、社会的価値の創出を経済性の観点から正当化するということの意味を再考したいと思います。

ここで重要になるのは、「社会的価値の創出を担うアクターは営利企業だけではない」という点だと考えています。当たり前のようですが、この点が実は「企業の社会的責任」といった形で企業を主体に置くことで抜け落ちてしまう、少なくともその相対的重要性が下がってしまうのではないかと感じています。例えば「BOPビジネス」では、現地のNGOや社会的企業、政府といったアクターとのパートナーシップがビジネスの生態系を形成するためには欠かせません。それは社会的価値の創出そのものが経済的リターンを得るために必要であることの裏返しです。ここで言う社会的価値とはビジネスの基盤である、インフラやステークホルダーの能力、法整備などの市場環境や他のビジネスパートナーなどで、これらを0から作り上げることは企業単体ではできない、また企業以外のアクターにとっても単体ではその価値を最大化できないという懸念からパートナーシップが生まれ、共に生態系を作り上げていくことになります。こうした「社会的価値の創造のために、その経済性を確保するために外部のアクターと連携する」という論理は、近年注目を集め始めたCreating Shared Valueのような考えに集約されています。

 

今後はこうした連携による共有価値の創造というのが大きなテーマになっていくはずです。それは企業が自身の担う役割を拡大していくこと、拡大した先で他のアクターとコストとリソースを共有することで、共有の価値を生み出していくことだと理解しています。これはもはやCSRやサステイナビリティというレベルの話ではありません。官民連携や社会的企業、NGOとの連携など、これらが重要だと感じるのは、これまで縛られていた「企業」という枠組みを超えた価値の創造を目指していることであり、それが「企業」としての価値につながるという理解の上になりっているからです。もちろん、こうした連携は様々な形で行われてきており、「前からあったじゃないか」という反論も分かるのですが、多くの関心が集まり始めている、その重要性が相対的に増してきているということが重要であると考えます。

そして何より、この価値の共有というモデルが、今後様々な「社会的価値の創出」に応用されていくのではないかと考えています。BOPビジネスが貧困問題に対応したように、その他の社会的課題についても同様に既存の枠組みを超えた形でコストとリソースを共有することで、経済性の観点から正当化できる取り組みが増えてくるのではないか。そういう意味でも、生態系を作るインキュベーションという仕事の重要性が増してくるわけです。

 

さて、3つのレベルとして、企業という仕組み、社会と市場、人と組織という点を挙げましたが、一つ目がまだ途中にも関わらず結構な量になりました。ということで、ここでまた切ります笑 今日はもう少しこのあたりを書いていきたい気分なので、次の投稿に続きます。

小さくまとまらない

昨晩は恩師Sさんと飲み、色々考え直すきっかけになったのでそのことをつらつらと。

結論から言うと、もっと大きな枠組みでの思考を続けていこう、小さくまとまらないようにしようと、そんなことを思うわけです。最近はめっきりその逆を目指していました。就活、修論含め、自分が思い考えてきたことをうまく枠踏みにはめていくような作業を意識的にやっていたわけです。もちろんそれはそれで大事なのですが、確かにそこに注力するあまり大きな枠組みでの思考を伸ばせていなかったように思います。そのあたりをさすが見抜かれましたね笑

少しくらい歯が浮いても、「これからの社会はこうあってほしい」「これから世界はこう変わっていく」「次世代の国づくりとは何か??」そんな大枠で物事を悩み考えることを続けていくことが大事だなと感じました。

さてさて、ということで今日は休み返上で、そんな大きなことに思いをはせているわけです。今回投稿は本当に内省という感じなので、ご了承ください笑 大きなことを思い描くためには、まずは自分の中に潜ること、というどこかにありそうな理論を頼りに、まずは自分のルーツを内省していきます。

 

そもそも、今の自分を作るに至った考え方は、「世の中の問題を解決していくためには仕組みが変わらないといけない」というものだったように思います。

ミスチル信者だった私は高校生くらいから漠然と「社会をよくしたい」みたいなことを思っていたわけです。今こうして書くと恥ずかしくて、こうやって言い訳がましい後付け分を付け足すわけですが笑 貧困、環境、経済格差、過疎化、テロ、自殺などなど、特定のテーマがあるわけでないものの、漠然とこのままでいいのかと感じていたのだと思います。

大学に入って色々学び考える中で、一つ感じたのは「自分が社会をよくする」といった自分を主体に置いた考え方ではなく、「自分を含めた、社会の仕組み全体が大きく変わること」という今でいうならシステム思考に近い考え方の重要性でした。今でも思っていることですが、原体験の乏しい自分にとって、自分が主体となって何かを変えたいと考えること自体に少なからず抵抗感を覚えていたように思うわけです。例えば、大学で開発関係のことを専攻しつつも、自分が見ているものは貧困という「問題」であって、そこに生きている一人一人の人間性を無視していることに違和感を感じていました。そこに生きる人との間に有機的なつながりを見いだせない自分がいたわけです。

しかし、そこにつながりを見いだせない一方で、こうした問題について、それでも自分にできることは何かと漠然に考えていた日々でした。そんな中、「仕組み」という言葉がキーワードに上がっていったようい思います。自分が生きている世界そのもの、そこには自分との間に有機的なつながりがある、自分を含めたその仕組みが変われば、結果的に社会をいい方向にシフトさせていけるのではないか、そんな感じです。

そして至ったテーマが「企業活動という仕組みを社会課題の解決にいかに結び付けていくか」という今の研究につながるものです。世の中の仕組みを形成しているものは他にもたくさんあるのですが、政治への失望、自分の能力の低さなども相まって、一番身近な「ビジネス」という考えに興味持ったのだと思います。そのテーマの中核は「社会的価値の創出に経済的なインセンティブを付ける」という命題でした。儲かるというインセンティブが働けば、企業という巨大なもの、かね、ひとが動いていくはず、という仮説です。今となっては結構広く認められている考えですね。

大学2年(今から4年前くらい)にかいたレポートでは、「社会的投資の評価軸に、BOPビジネス等の積極的な社会的価値の創出を含めていくべきだ」みたいな突拍子もないことを書いて先生を困らせていたように思います笑 今思えば「インパクトインベストメント」みたいな話を知らずの間にしていたのですね。あの時の論理は確かに幼稚だったかもしれませんが、根底にあるものは今でも変わっていないのだろうなと思います。そしてその時の先生も、授業に全然関係のない本テーマを勝手気ままに書く学生を「優秀な学生」として評価してくれたことも一つ感謝すべきことなのだと感じています。

何を言いたかったかというと、自分にとって今の研究テーマもBOPラボやその他の活動も全て、そのルーツをたどれば「どうしたら世の中の仕組み、その仕組みをつかさどる企業活動を社会的の価値の創出につなげていけるか」ということで一貫しているわけです。BOPビジネス、CSR、SRI、インパクトインベストメント、社会起業家、組織変革など、広く色々なことに手を出しているように見えて、その根底はぶれていない、ということです。なんだか自分に言い聞かせているようですが笑

最初は「社会的価値創出の経済的インセンティブを付加する」ということが仕組みを変えるための鍵だと思っていました。もちろん今でもそれが大事だと思っています。しかし、それだけではないな、他にも大事なものがあるなというのが学部後半での学びでした。それは人と組織という視点です。「社内社会起業家」という考えにすごく惹かれたのもそのためです。

企業という仕組みレベルでは確かに経済性というのが不可欠な動機となりますが、人や組織というレベルではそれだけではない「思い」や「志」といったものが確かに存在している、それを肌で感じる出会いにひどく感動したことを覚えています。こうした出会いとほぼ同時期に、シンクロニシティのように出会ったものがピーターセンゲなどの組織論者の本でした。「学習する組織」や「U理論」など、「人と組織がありたいと思う姿」を描き、仕組みの変革を伴ってその実現を目指していくという考えが、その時に自分には目から鱗でした。

結果、学部の頃の卒論は、「人と組織という視点と、企業や市場、ひいては資本主義という仕組みの視点、これらを分離して考えることはできない、BOPビジネスやCSR、SRIなどの本質はこうした多層における変化の帰結にすぎない」みたいな内容を書いたわけです。自分にとって、企業として経済的インセンティブを持って社会的価値の創出を行うこと、社会的価値の創出に経済的な意義を見出そうとすること、それを可能にする組織文化や市民社会風土の成熟といったテーマは一見ばらばらに見え、しかし強い相互関係を持っているものとして映っていました。

 

さて、そんなことを学部生の頃に考えていた、今も考えているわけです。これらのことを考えながら、BOPラボの立ち上げたり、日系シンクタンクでCSR評価の仕事をしたり、ARUNでの新組織立ち上げに関わったりと、色々なことに手を出してきました。特に、大学院への進学を決めたのはこうした大きな枠組みでの発想をもっと深めたい、既存の議論に載せるために枠にはめ込めるようにしたいと考えていたこと、シンクタンクでの仕事をもう少し続けてみたい、BOPラボでの活動をもっと膨らませてから社会に出たい、そうしたモラトリアム的な動機からでした笑

しかし、冒頭にも書きましたが、今の考えを枠にはめ込むことに注力し過ぎて、肝心な「大きなもの」を膨らませる作業を行っていたように思います。これを人は「小さくまとまる」というそうです笑

こうして振り返ってみると、自分の考えてきたことは「これからの企業の姿」ということになるのかもしれません。いや、そもそも「企業」という枠組みすら薄れて考えていると思います。長くなってきたので、この投稿はここで一端切ります。今回は自分がこれまでどう考えてきたのかを改めて振り返ってみましたが、午後はこれからのことについて考えてみたいと思います。

 

 

 

Why CSR`s Future Matters to Your Company

というタイトルでHBRのWeb版に記事が上がっていたので紹介です。別に真新しいことは特にないのですが、個人的に色々な視点を織り込んでいてまとまっているなと思いました。記事で取り上げられているものを、人と組織、製品サービス、企業を取り囲む環境、持続可能な発展とリスクマネジメント、という4つの視点で見直しながら、個人的に思うことを書き足していきます。

Why CSR`s Future Matters to Your Company

第一に挙げられているのが、従業員のエンゲージメント。記事ではボランティア活動への参加の推奨との関係等が紹介されていますが、企業で働く人も単にお金のために働くよりは社会のために何かをしたい、そう思える活動を推奨してくれる企業で働きたいということですね。就活生として、非常に分かります笑 自分自身がというよりは、むしろそういう欲求を持っている若手、特にいわゆる「優秀」な人は多いのではと思う今日この頃です。

これを「人と組織」について、CSRが果たす役割の一つと考えるなら、エンゲージメントよりも重要な要素があるように思います。それは「起業家精神とイノベーション」です。すごい大風呂敷を広げた書き方ですが、これは非常に大事なんだろうなと思い、いくつか仮設を持っています。ここだけで、何回もブログが書けそうなのでいつかまた書きます。

第二、第三に、コーズマーケティングと懐疑的な消費者が紹介されています。どちらも製品サービス、社会環境の変化に関するものなので一括りにしてしまいました。コーズマーケティングはポジティブに消費者に訴えかけるマーケティング戦術としてのCSR、一方で、懐疑的な消費者対策、つまり製品サービスについて批判的な姿勢を持つ消費者や市民社会からの批判をいかに退けるかという消極的なCSR、という形で紹介されています。後者について、Good Guideとか凄いなと思ったりします。Unileverと連携したコーポレートベンチャーキャピタルとかも出資しているみたいですね。

この二つに共通しているのは製品サービスを通じた「消費者」への働きかけと言えるでしょう。認証制度やCSRとブランドイメージの融合的な話もここに入ると思います。なんですが、この項目について、いっつも思うのは果たしてこの要素が経済的に重要なものとなるのか、って結局その市場、つまり国や地域の中で社会的な消費に関する土壌が整っているのかいないのか、というところに行きつくような気もしています。どうでしょう?? ここも色々書きたいところです。

第四に挙げられているのは、経営層の関与、つまりESG情報の重要性が高まっているということです。どうしてESG情報が重要になっているのかというテーマはまたそれ自体で数回に及ぶので今回は書きません。記事の中では、紛争鉱物や人身売買等、近年注目を集めているトピックも挙げられていますね。ちょうど昨日こんな記事があったので、こちらも紹介です。Sustainable Capitalismというタイトルですが、環境に関連したリスク、統合報告の重要性、四半期報告の罠、経営層と投資家への長期志向インセンティブ等が指摘されています。

 

この記事では、CSRについて異なる視点からその重要性の高まりを指摘しています。個人的にも、こうした多角的な理解が重要であると思うと同時に、他にも挙げられるものがあるのではと感じました。今後はそんな日々感じていることを、少しずつ書き溜めていきたいと思います。しかし、時間を決めて書いているのですが、こうして色々な話しが詰まった記事をネタにしても、「一度に書ききれない」といういいわけで結局何も書いていない状態になっているような… 今後も面白いなと思った記事をネタに、自分の考えを反映させた形で書いていきますが、これからはもう少し工夫します。

 

「G20包括的ビジネス・イノベーション」って??

昨年末にニュース記事を見て知ったのですが、G20のカンヌサミットの中で「G20包括的ビジネス・イノベーション」というビジネスコンペティションが実施されることが決まったようです。外務省の公式発表や報告書にも、数行さらっと書いてある程度で文脈などよく分からない部分もあるのですが、この記事に関連して政府と包括的ビジネスの関係について、今月は数回のブログ投稿中で考えをまとめていきたいと思います。

ちなみに、同イノベーションチャレンジの詳細はこちら⇒G20 Challenge on Inclusive Business Innovation

今月末までに応募となっていますが、「包括的ビジネス」に携わる機関がそれぞれ「革新的な」ビジネスを国際舞台で共有していくというのが主旨のようです。(早期応募で抽選2組にKindleプレゼントって…笑) この取り組み自体がどのような位置づけで、どんなアクターが関わり、どんなアウトプットをイメージしているのかは正直不明な点が多いのですが、こうした舞台に本テーマが上がってきたというのは単純に面白いなと感じました。もとより、UNDPやIFCといった機関が、包括的ビジネスに関する知見をケーススタディとしてオープンに募ったり、欧米の企業がビジネスコンペティション形式でビジネスアイデアやパートナーを模索するといった取り組みは多々ありました。しかし、これをG20という形で取り組んでいく、そのための合意を結んだというのが今回の「G20包括的ビジネス・イノベーション」のようです。

「包括的ビジネス」において、政府や企業と同等に中心的なアクターとして認識されているように思います。「BOPビジネス」や「企業の社会的責任」など、企業側の視点でこのあたりのテーマを取り上げることは多いのですが、政府や国際機関などの公的なアクターの視点で同じテーマを捉えることが重要ではないかと考えています。政府にとって「包括的ビジネス」をどう捉えるか、「包括的ビジネス」において政府の担うことのできる役割は何か、そのあたりを数回に分けてまとめていこうと思います。

 

今年はブログをちゃんと書きます。

2012年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いたします。

昨年末から宣言していた通り、今年はブログをちゃんと書いていきたいと思います。ブログを書こうと思う理由について;

①自分の考えてきたことを人に伝える力を身に付けたい

②伝える作業を通じて、自分を新しい境地に放り込みたい

2年前、イギリスに留学していた頃にはブログやらtwitterを①の理由を背景に続けてきたわけですが、それが功を奏して新たな出会いや学びにつなげることができていました。つまり、①を通じて②を経験してきたわけです。ただ、ここ1年ほどは結構大人しく、静かに学びを続けてきた一年、と言ってもいいように思います。大学院の課題やらなんやらに追われていてそれどころでなかった、という言い訳もあるのですが笑

修士二年目に突入、就活という壁も待ち受ける中で、今一度、自分が学び考え、そしてこれから実践していきたいと考えていることを言語化して人に伝え、そのうえで新しい出会いや学びを待つ、そんな一年にしたいなと考えています。この1年間、結構色々身につけたと思います。今までよりはまともなブログになると思いますので(自らハードルを挙げてしまっているような…)、もしお時間あれば読んでいただければと思います。


何はともあれ、まずは週一回、2012年はブログをちゃんと書いていきたいと思います。

 

PS
今年の目標は「覇気の取得」です笑

Owly Images

インパクトインベストメントとESG投資

「インパクトインベストメント」と「ESG(環境、社会、ガバナンス)」、これって使っている人は何を持って使い分けているのでしょう?? そんな問題意識について触れている記事があったので少し整理してみたいと思います。これはあくまで個人的な見解で、所属する組織の考えとは無関係です。(って言ってみたかった笑)

SocialFunds.com — What exactly is impact investing, and how does it differ from sustainable or responsible investing? 

とは言いつつも、個人的には定義そのものには興味がないというか、コミュニケーションの際に必要に応じて定義すればいいかなという程度でしか考えていません。一番違う点は「インパクトインベストメント」は初期段階の社会的企業に対してメソファイナンスを行うもので、今の一般的なSRIが既上場企業などのメインストリームの大企業をESG評価の対象としている点と言えるかと思います。また、インパクトインベストメントの方がより直接的積極的に社会的価値の創出を目指しているとも言えるかもしれませんが、一方で、その評価軸や方法はESGと多分に重なります。しかし、これらも非常に限定的な見方で、新興途上国でのVC/PEがESG指標を投資基準に加えているという事例は多々ありますし、アキュメンファンドなどのインパクトインベストメントの典型事例もESG統合型のVCの事例として紹介されています。「インパクトインベストメント」が何、「ESG投資」が何、ということにあまり意味を感じないのは、そのためです。上記の記事の中でも新たな動向をいくつか紹介していますね。

どうでしょう?? これらはあくまで個人的な意見なので、是非他の方のご意見も伺ってみたいです!!

社会的インパクトの積極的創出、ESGの統合というベクトルが別次元で生まれているのが現状ですが、その先には確かに重なり合う領域が見えはじめていると思います。そして、その辺りの感覚が、自分にとって「BOPビジネス」のような話とこの社会的投資関係の話が切りはなせないと感じるところなのです。この分野の実践者の方たちが「インパクトインベストメント」と「ESG投資」どのように理解して、どのようにすみ分けているのか、是非色々お話をさせていただきたいなと思っています。

もう一点関連して、社会的投資にしてもそうですが、いわゆる「社会的企業」と従来の「営利企業」が協働するという体制が今後さらに重要になってくると感じています。営利企業から社会的企業がスピンアウト、社会的な投資を呼びつけつつ、親企業と協働するといった事例も増えてくるのではないかと。なぜそう思うのか、それが社会的投資とどう関係してくるのか、もう少し頭の中を整理してみたいと思います。

 

 

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