ブログ、書けるときに書いとかないときっと続かないだろうなと思い、ホーチミン空港の乗り換え待ちの時間を利用して書いています。ちょうど、Business Fights Povertyから新しい記事が上がっていたので、それをネタに書いていきたいと思います。

FSG、NestleのCSVの元ネタを創った会社が新しいレポートを発表、インドのCSV事例に関するものです。

“Creating Shared Value in India” 

内容の要旨はBFPに丁寧に挙げられているのでそちらを参照してください。(すいません…)

以下、要旨記事の中からの引用。企業がCSVの文脈の中で重要となるパートナーシップについてです。

  • Social enterprises can be treated much like any other startup. They take on the initial risk of product development, and can be sources of innovation. For example, GE is distributing infant warmers initially created by Embrace, a social enterprise. The warmers, which save the lives of newborns without the use of electricity, reach more Indians because of GE’s sizable distribution network – and GE gains from the innovation developed by Embrace.

「社会的企業はスタートアップのようだ」というのが面白いです。GEの例がレポートにも上がっていますが、Nestleにしたって、CSVアワードなどを行って関連事例を募り、その中でネットワーキングを行っているのは、間違いなく途上国、特にこれまで「ソーシャル」が相手にしてきたセグメントでのノウハウの蓄積、パートナー探しを狙っているはずだと思うのです。オープンイノベーションというと、IT等の技術にもっぱら使われる概念なのかもしれませんが、包括的ビジネスなどの分野では従来の「営利企業」単体複数では補完できないイノベーション(製品サービス、ビジネスモデル)を、「ソーシャル」で活動する組織から探してくる、という発想なのかもしれません。まさに、社会的起業のイノベーションを大企業が加速させる、なのかも(Social Entrepreneurs as Innovation lab and Large Business as Accelerator)。参考「The New Pioneers」(←邦訳出ませんね)

  • Civil society/NGOs provide valuable market research and implementation support. They are closest to populations in need and have deep understanding of the nuances that surround social problems. For example, Novartis’ Arogya Parivar “health educators” work closely with village leaders and local non-governmental organizations to educate residents of rural communities about the benefits of healthy lifestyles, raising awareness and simultaneously creating demand for effective medicine.
  • Government obviously creates an enabling environment through regulation. But local, state and national governments can also serve as major customers for the private sector, creating demand that companies will compete to address. ICICI created an innovative weather insurance product, and continues to innovate in response to government contracts that increase the reach of its offerings.
  • Other businesses, whether in the same or complementary industries, can also serve as important partners. For example, the telecommunications company Bharti Airtel has partnered with the Indian Farmers Fertilizer Cooperative (IFFCO) to offer free daily voice messages that give guidance on agriculture and related issues. The initiative accounts for nearly half a million of the 3 million new subscribers that Bharti Airtel adds each month, and IFFCO communicates directly with its primary customers (farmers) five times each day, creating an effective marketing channel that the company values highly.

市民社会組織(NGOなど)、政府系機関、他社とのパートナーシップによって情報共有、法整備などの政策対話、欠如しているビジネスの前提を創ることなどはCSVという文脈でなくてもよくいわれるような気がします。UNDPの包括的ビジネスのフレームワーク(リンクを探すのが時間がかかりそうなので「世界とつながるビジネス」英治出版参照)にも出てきますし、最近面白いなと思ったのは、この「包括的ビジネスエコシステム」戦略のレポートです。

“Tackling Barriers to Scale: From Inclusive Business Models to Inclusive Business Ecosystems”

BOPビジネスにおける「エコシステム」という言葉はPrahaladの頃からずっと言われていますし、他の研究者も結構言っている話なのでこれまた珍しいものではないのかもしれません。それでも面白いのはCSVも包括的ビジネスエコシステムの話も、「(ビジネスを拡大するために必要な)社会に欠けているニーズ(Societal Needs)を企業、市民社会、政府、社会的企業で協力して作っていきましょうよ」と言い替えられるからです。もちろん、過度の単純化ですが。

自分の興味はこの「ビジネス」と「ソーシャル」の間にある戦略的意図、と言えるかもしれません。それは企業にとって社会的価値の創出が、経済的価値の創出の基盤となるという視点もあれば、社会的価値の創出のために経済的価値の創出に協力するという視点も、両方を指しています。CSVにしても、包括的ビジネスエコシステムにしても、企業単体ではできない社会的価値の創出およびそれによる経済的価値の向上を、外部のアクターとの関係性を強化することで達成していく。どちらの視点からも、非常に面白いものだと感じています。

この辺りの話を勉強しだしてから早4年近く、独学までここまで来ましたが、時代は変わっているのかなと感じる今日この頃です笑 このCSVのレポートは、農家コミュニティの形成など、他にもピックアップしたい項目が結構あったので、数回に分けてブログにも書いていきたいと思います。