以前「資本とは何か??」という投稿をしたのですが、今日読んだ田坂広志さんの「目に見えない資本主義」の中でもそうした話があったのでまとめておきます。元々田坂さんの本は留学中に読んだりしていて、自分の考え方に大きな影響を与えた本だったなと感じています。

「目に見えない資本主義」田坂広志

これからの資本主義においては、「知的資本」「関係資本」「信頼資本」「評判資本」「文化資本」、総じて「共感資本」と呼ぶべきものが、極めて重要になっていく。

本のタイトルにもなっているように、これまで以上に「目に見えない資本」の重要性が増していくという話です。例によって、ここのブログではわざわざ要旨解説みたいなことはしません笑 数時間で読めてしまうので、是非読んでみて下さい、お勧めです。(新しい公共の円卓会議の資料だけでも結構読めると思います) ちなみに、 これからは知識集約型じゃなくて関係集約型になっていくんだろうね、という話を友人としますが、それも「関係資本」が重要になっているということなんだなと感じています。。

田坂さんの話で面白いなと思うのは、この「資本とは何か??」という話を5つのパラダイムシフトの点で論じているところです。

第一のパラダイム転換 「操作主義経済」から「複雑系経済」へ

第二のパラダイム転換 「知識経済」から「共感経済」へ

第三のパラダイム転換 「貨幣経済」から「自発経済」へ

第四のパラダイム転換 「享受型経済」から「参加型経済」へ

第五のパラダイム転換 「無限成長経済」から「地球環境経済」へ

これらの話は自然科学、社会科学、人文科学など、科学のあらゆる分野で起きている転換でもあることは、大学での学びを通じても広く感じたものです。特に第一の転換、「操作主義」から「複雑系」という話は自分の中で物事を見る際の大きなフレームワークになっています。本書でも指摘されているような「操作主義」は至るところで目にしますし、年をとるにつれてその中にのまれていく自分や周りの環境も強く感じています。

また、「参加型経済」の中で触れられている直接民主主義の話についても、自分の興味関心につながるものです。「社会変革に参加していく」というと少し身構えてしまう言い方ですが、私はそれを「今の社会の構造を知ること、その構造の変革につながる行動を選択すること」だと理解しています。ピーターセンゲが「システム市民」という言葉を使っていますが、社会変革に参加するというのは単に社会貢献をするということだけではなく、自分が普段生きている社会を構造的に捉え、その中でどのように振舞うかを主体的に選択していくことだと考えています。ここで挙げている「システム市民」の話と、田坂さんが触れている「参加型経済」というのは微妙に違うかもしれませんが、個人的には非常に近い文脈の上で理解しています。

 

本題とは直接関係ないのですが、本著の中で主張される「日本型経営」への回帰について、個人的にはそれって思考停止にならないだろうかと思う側面もあります。上記のパラダイム転換は日本企業にとって懐かしいものである、土着の文化に目を向けてみようという話です。もちろんそれらは正しいと思います。しかし、今の社会にはこうした精神性を持っていても、人々や企業組織にそうはさせない「構造」が存在しているかもしれないという発想を持つことも同じように重要だと考えます。

以前も少し書きましたが、最近考えているのは「社会的企業」というものは企業理念などの精神論ではなく、社会構造の中で企業活動をどのように再構築していくかという構造論な話しなんだろうなということです。この辺りもいずれ改めて書いていきたいと思います。

 

「資本とは何か??」という問いをしばらく自分の中にテーマとして持っていようと思っていたわけですが、今回の田坂さんの本にもそのヒントがあったように思います。「共感資本」や5つのパラダイム転換について、こうした抽象的な話を頭に置きながら、物事を分析的に見る目を持ちたいと思います。