ジョン・ラギーの「Reconstituting the Global Public Domain」という論文のプレゼンがあるので色々読みなおしているのですが、このあたりの話はやはり面白いなと思います。ラギーというと人権関連のラギーフレームワークが有名ですが、この論文の主張は7年近くたった今でもやはり響くものがあります。

This article draws attention to a fundamental reconstitution of the global public domain — away from one that for more than three centuries equated the ‘public’ in international politics with sovereign states and the interstate realm to one in which the very system of states is becoming embedded in a broader and deepening transnational arena concerned with the production of global public goods. One concrete instance of this transformation is the growing significance of global corporate social responsibility initiatives triggered by the dynamic interplay between civil society actors and multinational corporations.

この冒頭については以前触れたことがありますが、やはり面白い。これまで国が担っていた公共財の生産を、企業や市民社会組織などの国家以外のアクターも担っていくようにあるという話です。よく「CSRは結局イメージ戦略でしょ」と聞きます。もちろんそれはそうなんでしょうけど、そこで思考停止に陥ってはいけないような気がしています。

この論文や国際関係の話で言われていることは、企業、国家、市民社会の間に重複する部分がより顕著に表れ始めたことによるグローバルガバナスの変化です。企業という一領域を取っても、新しい会計基準の設定、格付け機関の拡大、認証制度など、「企業の権化」「企業による企業統治」が進行しています。近年ではESGやサステイナビリティ、統合報告などの動きもさらなる高まりを見せています。

 

こうした話に関連するのですが、結局のところ自分の関心は「これからの企業はどうなっていくのか」というところに落ち着きます。元々BOPビジネスやCSRに興味を持ったのも、「企業という大きな構造をどうやって社会価値の創出と結び付けるか」という問題意識からでした。最近はこの原点に立ち戻り、抽象的な部分をまた色々と考えているわけです。関連分野を研究領域にしていて分かったことは、「社会的価値の創出を経済性から正当化する」という側面については概ね合意形成がされている、そのための手段についても議論がかなり進んでいるということかなと思っています(ざっくりですが)。

そうした時に、頭に浮かぶ問いがこの「これからの企業はどうなっていくのか」という問いです。今日もどこかの記事で米国で起きているBenefic Corp拡大の動きがついにNYで正式な法形態として認められたと伝えていました。(こうした企業以外の法人形態についての議論は色々なところでされているのでこれも一度整理したいなと思っています) 別に企業や現存している仕組みが変わると言うつもりはありません。ただ、「企業と社会に広く共有される価値の創出」(ラギーのPublic Goodsはそういうことだと理解しています)を行っていく際に、企業、国家、市民社会との領域が重なり合う部分に、新しい何かがあるような気がしているのです。

その一つとして、今度ブログで書きたいのがUnilever財団の設立についてです。財団に限った話ではないですが、企業と社会的アクターを繋ぎ、両者の戦略的意図に立って共有価値を創っていくモデルへのヒントが詰まっているというな気がしています。次回はそんなモデルについて、今考えていることを書いてみたいと思います。